某デパートで偶然見かけたイーセンアーレンのダイニングセット。お値段を見てため息をつきながらチェアに座っていると、デパートの人に声をかけられました。
「お気に入りですか?」
「とても気に入っています。お高いので、いつかはきっと・・・と思いますが・・・」
と正直に話すと、その男性は私の斜め向かいのチェアに座りました。


私はこのスタイルを数年前に見かけてとても気に入ったこと、調べたらクィーンアンスタイルの中でもイーセンアーレンが一番自分の趣味に合っていること、偶然ここでイーセンアーレンを見て驚いたこと、7桁の金額を見てため息をついたこと、できればテレビを隠す収納のチェストもお揃いで欲しいこと、などをゆっくりと話しました。その男性はデパートの外商の人で、私の話をじっと聞いた後こう言ったのです。
「わかりました。上司に交渉してみましょう。」


数日後、その外商の方から連絡があり価格を下げることができると連絡がありました。
今から30年近くも前のことです。当時はデパートもそういうことができたのですね。
その後、リビングに置くチェストも買い足し、我が家のリビングダイニングの家具はイーセンアーレンのジョージアンコートで統一されています。
それからまもなく、イーセンアーレンは大塚家具にライセンスが移り、大塚家具の内紛からイーセンアーレンのライセンスは手放され、今国内で新品は買えないようです。
メンテナンスには手頃なダイニングセットを買うくらいの費用がかかりますが生涯使い続けたいと思っています。


合板ではなく無垢で作られた家具の手触りを毎日楽しみながら、
本当に自分の気に入ったものであれば30年たっても飽きずに使い続けられること、
新しいものではなく古くなっていくものにも美しさがあること、
メンテナンスをしながら一つのものを使い続ける心地よさ、
をしみじみと感じています。